School Album

2020.05.07

~私の思い出の1ページ~ vol.片岸香里

 「小さい頃の憧れの向こうに」

「バレエ教室のご案内」…いつも行っていたショッピングセンターの駐車場入り口にあった1枚の

貼り紙が私のバレエの始まりでした。 最初の頃は、週1回のレッスンに通い、2年に1回の発表会。

そんな中、お化粧をしてもらい立つ舞台だけは特別な世界でした。それ以来、発表会のビデオを擦り切れるぐらい何度も見て、真似して歌ったり踊ったりしたものです。

ある夏、福光町の「ねつおくり祭り」で踊る機会がありました。たくさんの教室から集まり、大勢での練習というものに、初めて参加しました。

みんなに向かって投げかけていたであろう先生の声は私の耳に届くはずもなく、何がなんだか分からずに練習が終わったという記憶があります。

本番の舞台のことは今でも鮮明に覚えていて、夜空の下、水上の舞台に星が溢れるように舞う素敵な舞台でした。

いつもは会うことのない他の教室の同じ年頃の子達やお姉さん達がステージの真ん中で踊っていて、キラキラと輝いている姿はまるでテレビの中の人たちのように思えました。

「あんな風に私も踊ってみたいな…」と母に言ったのを覚えています。

6年生の時にトルコ公演に初めて参加するのがきっかけで、念願の高岡スタジオのレッスンに通う事になりました。

憧れのスタジオレッスン!それはとても衝撃的でした。私は…足は上がらない、開かない、伸ばせない、止まれない、覚えられない…全部…!

周りにいる人みんなが上手に思えて自分の姿が恥ずかしく、人目も気になり、それはそれは大変でした!

とにかく必死にやるしかありませんでした。

「練習…?きっとみんなもやってないし…」そう思っていましたが、私の周りの人達はあたりまえのようにやり、努力していたのだということに少しずつ気がつきました。

そうして自分も頑張って練習をしていく中で、小さな事でもひとつできると嬉しくなり、また、一緒に頑張っていく仲間ができ、ますます踊りが好きになっていきました。

どんな時もやりたい事を応援してくれた家族、絶対に手を離さないでいてくれた先生がいなければ、

今の私はありません。たくさんの人の支えあっての今を大事に過ごしたいと思います。

あたりまえのように続いていた日々が思うように過ごせない今、目の前のことに一生懸命に取り組んでいるみんなの姿からいつもどれだけエネルギーをもらっていたのだろう、と改めて感じています。

こんな時だからこそ、初めて憧れや夢を抱いた時の気持ちを大切に、また、その延長上にいられる幸せをかみしめ、踊りの好きなみんなと共に学びながら、前に向かっていきたいと思います。

「福光ねつおくり祭り」 水上ステージにて