School Album

2020.05.25

~私の思い出の1ページ~ vol.古井晴香

 
初めてのソロ「一枝の春」

私が初めてコンクールに出させていただいたのは小学3年生の頃です。

以来、群舞で何度もコンクールに出させていただきましたが、決して上手とは言えず、センターでみんなを引っ張っていくというタイプではありませんでした。

そんな、とても上手とは言えない、自分に自信のない私に、「ソロを踊る」というチャンスを与えていただけたのは高校3年生、

最後のジュニアの時です。当時、私は高校卒業後、同級生の仲間と2人でプラハ芸術大学への短期留学が決まっていました。

その大きな旅立ちを前に何か自信を持てる事を…と晴香先生が考えて下さったからです。

自分がまさかソロを踊るなんて!と、ソロに対する憧れはあったものの、実際は本当にできるのだろうか…と不安の方が大きかったです。練習が始まり、まず実感した事は、「自分はこんなにも何も出来ないのか、今私が出来る事はゼロに近い」という事実です。

まずはその事を受け入れる事から始まりました。

ゼロの状態からからスタートした私に、晴香先生が「一度に全て出来る訳がない、一つ一つ積み上げる事、一つ一つ考えながら出来る事を増やしなさい」と教えて下さいました。

あまりにも不器用であまりにも理解が遅い私に、諦める事なく本当に丁寧に教えて下さいました。

行き詰まり、泣きながら逃げ出しそうになる私の腕を掴み、「最後まで離さないから、一緒に頑張ろう」と言って下さった事が忘れられません。

「出来なかった事」が「出来るようになった事」に変わることが何よりの喜びとなりました。

コンクールでは順位や結果がどうしてもついてきてしまうのですが、それよりも私にとってはコンクールという大きな舞台に一人で立てた事、最後までやり遂げることができた事、そこまでに至る過程を経験できた事が何よりの宝です。

それは私一人では絶対に出来ない事です。

教えて下さる先生、私だけの為に作ってくださった素敵な踊り、音楽、衣装、その全ての力で出来る事です。

その時の経験が今の私の力となり、次は私が壁にぶつかっている子供達の気持ちに寄り添い、私が感じてきた事を伝えられる先生でいたいと思います。出来ない事に気付くこと、

今の自分を知ること、そこから全てがスタートするのです。

研究生の皆さんには、ぜひ、「出来ないからからこそ得られるできた時の喜び」を感じて欲しいと願っています。

「一緒に頑張ろう!」

モダンジュニア
ソロ「一枝の春」